インドネシア／ジャワ　手描きバティック／更紗　used

バティック(batik)とは
染めようとする色以外の所を蝋で覆う技法とその技法で染められた布のこと。
　
紅いりんごを描こうとしてる。
描く対象を観察し
鉛筆を紙面の上を動かすと
大抵は目の前にあるりんごが描ける
紅いなら紅い色をさせば
より本物らしく見えてくる
普通はそうである。
　
　バティックの技法、ロウケツ染は描きたい対象を蝋で伏せるか蝋で囲う。
蝋を置いた後の浸染で
伏せた箇所は染まらず
蝋で囲われた箇所は染まる
チャンティンという蝋置き道具の爪の先から滴りでる蝋を真っ白な布地に下絵無しで蝋置きする熟練者には仕上がりがすでに見えていなければならい。
　染め上がりも白と藍色というシンプルなバティックばかりでは無い。
　フリーハンドでマジカルな紋様を描き出すバティックの技術はユネスコの無形文化遺産の認定を受けるに値して余りある。

京友禅では、バティック技法の蝋置きが、ゴム置きに該当するが、特殊なゴムで隣り合った柄同士の色が混ざり合わないように伏せ留める役割を担い、友禅染が仕上がった際には細い線として布地に残る。
彩色は、紙上に絵を描く行為と全く同じで、赤い染料を含んだ筆を布に置くとその部分は赤く染まる、青なら青に、緑なら緑といった塩梅である。
　バティックの製作工程での色の調整には蝋置き、脱蝋、浸染の一連の作業を複数回繰り返さなければならなず、労力と時間を要する骨折り仕事である。
　
本品はフリーハンド、手描きバティック
浸染工程の詳細は知る由もないが、ソガ染めの後に藍に浸したのか？青みのあるグレー地がなかなか美しい。
　製作地域はソガ染めの黄味のかかった薄茶色から推測するとスラカルタ。

元々は宮廷貴人の嗜みから始まったとされるジャワ更紗、王族のみが身につけることが許された禁制紋様のバティックもやがては庶民にも広く普及。
オランダ東インド会社がジャワ島北部の港に出入りする頃からヨーロッパへの輸出を念頭に置いた製作をするようになり、量産に移行する。
ヨーロッパでは機械プリント技法が発達し、やがてバティックの逆輸入の時代をむかえ
　手描きバティックは姿を消してゆく。

近年、伝統的バティック製法の価値が再認識され、大半の安価なプリントバティックに対して手描きバティックはこれまでになく高価で一般庶民からは手の届かない高級品となっている。